ということで、本日は猫の肥満についての話
猫の肥満
猫の肥満とは、一般的に体内に脂肪が溜まり過ぎた状態言うのだが、消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多い場合、余ったエネルギーはまず肝臓や筋肉の中に「グリコーゲン」という形で貯蔵される、そして、それでもなお過剰エネルギーがある場合は、全身に存在しているエネルギー貯蔵庫ともいえる「脂肪細胞」の中に、中性脂肪という形にエネルギー転換して蓄えていく、そして、この「中性脂肪」こそが、ぜい肉の正体であり肥満の原因である、近年は、ペット用の体脂肪計などのデジタル機器も動物病院に導入されるようになってきたが、家庭に普及するまでにはまだ時間が掛かると言われている、一般的に、猫の肥満判定にはBCSというアナログ指標が用いられる
肥満になると困ること
関節や筋肉への負担
体重が重いので足腰などへの負担が大きくなり、結果として関節や靭帯、椎間板を痛めやすくなってしまう、例えば、体重5kgの猫にとって1kgの体重増加は、体重60kgの人間にとって12kgの増加に相当するので「たかが1kg太っただけじゃないか」と事態を過小評価して猫の体重増加を放置していると最終的には猫の健康を損なってしまうので注意が必要だ
心臓への負担
体重が増えるということは、重い荷物を背負って歩く状態に相当するので、結果として筋肉に血液を送り出している心臓への負担が増えてしまう
呼吸器への負担
首の周りに脂肪がつくと気管を始めとする気道が圧迫されて呼吸がしにくくなる、人間で言うと太った人が寝ているときにいびきをかいている状態に相当する
糖尿病を発症する
過剰な食事で体内のインシュリン抵抗性が高まると、エネルギーを効率的に細胞内に入れることができなくなり、結果として糖尿病が発症してしまう
麻酔が効きにくくなる
緊急で手術が必要となったとき、過剰な体重が麻酔の効果を薄めてしまい、それだけで手術を難しくしてしまう可能性がある
肥満の原因
運動不足
過剰摂取したエネルギーを運動で消費すれば差し引きゼロになって太ることはないのだが、慢性的な運動不足状態だと余ったエネルギーが脂肪に変換されてしまう、また、一度太ってしまうと動くことがつらくなり、さらに運動をしなくなるという悪循環が生まれやすくなる
多すぎる食事
必要以上にご飯を与え続けていると体内でエネルギーが余ってしまう、可愛いからといって、ついついおやつを与えすぎると結果的に猫を不健康にしてしまうことになる
避妊手術
メスは卵巣、オスは精巣を取り除くことを不妊手術と言うが、その結果、体内のホルモンバランスが変わり、基礎代謝の低下、食欲の増進などを招いて結果的に肥満に繋がってしまうことがある
病気や怪我
ある種の病気や怪我が肥満を誘発することがある、例えば、関節炎に掛かっている猫や下半身不随の猫、何らかの手術を受けて自宅安静中の猫などは、どうしても運動量が少なくるので肥満になりやすくなる、また、甲状腺機能低下症やクッシング症候群など内分泌系の異常によっても体重が増えてしまうことがある
肥満の治療
運動量を増やす
体内におけるエネルギーを赤字状態にするためには、運動量を増やす必要があり、関節炎や心臓病などの基礎疾患が無いなら運動の時間や頻度を増やしたり、室内に上下動できるような猫専用の遊び空間を設けてあげると、溜った脂肪を消費しやすくなる、だたし、太り気味の猫を短期間でやせさせようと無理矢理運動させるのはよくない、関節や心臓への負担が大きくて猫に苦痛を与えるので、猫の様子を見ながらペース配分するようにするといいだろう
食事量を減らす
運動量を増やすと同時に食事量を減らす、何かにつけておやつを与える習慣を正したり、同じ量でも含有カロリーの少ない療法食に切り替える、また、ドカ食い・早食いの癖がある猫の場合は、1回の食事分量を減らして食事の回数を増やしたり、早食いができないような特殊な食器に変えたりするのも効果的である、ちなみに、キャットフードのパッケージに表示してある給餌方法は、一般論で全ての猫に当てはまるわけではない、あくまでも自分が飼っている猫の体型を日々モニターしながら食事量を微調整することが重要となる