ということで、本日は猫の聴力の話
猫の聴力とは
猫の五感の中で最も優れている感覚が聴覚である
猫の蝸牛(内耳にあり聴覚を司る感覚器官である蝸牛管が納まっている、側頭骨の空洞)の長さは人の3分の2程度で、蝸牛内にある有毛細胞数も人間より1万本少ない、それにもかかわらず、猫の聴力が発達している理由は、神経節細胞から伸びる神経線維が人間より2万本多い5万本もあるからである
猫は人間では聞き取れないような超音波レベルの高音が聴き取れて、室内に居ながらも遠くで聞こえる音に反応して何もない場所を見つめたり、飼い主が帰ってくる音を聞きつけて玄関で待っていてくれたりする
また、音源特定能力や音程を聴きとる能力も優れている
可聴域
猫=25~75,000HZ(ヘルツ)
犬=40~65,000HZ
人間=20~20,000HZ
(※可聴域とは聴力で聴きとれる周波数のことである)
猫耳はアンテナ(集音器)である
猫の耳は20以上もの筋肉があり、左右別々に180度自由自在に動かすことが可能であり、自在に耳を動かして音をキャッチしたり、音のした方向に耳を向けて音源の位置確認をすることなどができるアンテナ(集音器)の役割を果たしている
猫の脳に音が伝わる流れ
- 耳介で拾った音が鼓膜を振動させ、その振動が中耳内の耳小骨から内耳へ伝わる
- 内耳の蝸牛の中には音を感じ取る細胞があり、得た聴覚情報を聴神経を通じて脳に伝える
- 音源の方向や音源までの距離を正確に計り知る
聴覚の方向性
猫=2~3度
犬=8度
人間=16度
(※方向性とは平面360°に対して音源を探った場合の誤差をあらわしたもののことである)
また、耳の動きから心理状態を知ることもできる
- 顔がそっぽを向いていても、耳がしっかりとこちらに向いている➡関心があるというサイン
- 耳を深く寝かせている➡おびえている状態
- 耳の裏を前万に出すように寝かせている➡威嚇をあらわす
猫の聴覚が発達した理由
猫の聴覚は、獲物を捕まえる為に発達した
猫は本来、暗い林や森の中で獲物を待ち伏せすることで成長してきた種族であり、光のない夜でも遠くから聞こえる獲物の微かな音を拾い、その場所を特定し、暗闇でも正確に狙いを定めることができるように聴覚が発達した
特に獲物である、ネズミの鳴き声に近い周波数をよく聴き取れる
猫の好む音
高くて小さな音
猫は女性の少し高めの声を好む
また、子猫が出す2,000~6,000HZくらいの音が特に好まれ、高くて小さな音は喜びや興奮などの感情を表す音でもある
ビニールなどのカサカサ音
ネズミや小動物が動く音に似ているから、このカサカサという独特な音に闘争本能がくすぐられる
テンポの速い曲
猫の心音に近いテンポの速い音楽(ロックなど)
またクラシック音楽を聴かせると穏やかになる猫もいるので、個体種によっても好みの音楽があるようである
猫の苦手な音
ドライヤーや掃除機の音
大きな音が苦手であるうえ、モーター音には微弱ながらも「キーン」という高音成分が含まれているため、こちらも嫌いな音のひとつの要素となっている
金属音
工事の音や、鍵やスプーンなど金属同士がぶつかって鳴る音
※猫によっては痙攣や発作を起こしてしまうこともある
雷
あらゆる生物に共通して苦手な音である、雷や豪雨、強風など自然発生的な大きな音
突発的な破裂音
花火やくしゃみ、手を叩く音など突発的に出る大音量の爆発音
※人間のくしゃみは最大で時速300kmで放たれるので、猫にとっては人間の口から放たれる爆風である
低い声
低くて大きい声、特に男性のどなり声も苦手、野生時代の名残りで、大きな動物のうなり声は補食動物を連想させてしまい、生命の危機を感じることから嫌がる個体が多い
その他
クシ・ブラシを弾く音、PCのキーボードの打鍵の音など
まとめ
猫の可聴域は25~75,000HZであり人間の10倍である、音に敏感な猫にとってストレスとならないよう、大きい物音を立てないようにしたり、突然大きな声やくしゃみなど出さないようにしたりして常に配慮してあげよう~